No.034|月とピアノ

夜は静かだ。

羊の群れが電気の柵に囲まれた牧場で眠っている。
夢の中でピアノを弾いているのだろうか。
ピアノは羊にとって何を意味するのだろうか。

私にとってピアノは月だ。

月は水の上に映る。水は月の光に踊る。
私はピアノの音に踊る。ピアノは心を映す。

心はピアノの音に溶ける。
音色は夜に溶ける。

私は月になる。

No.34|月とピアノ https://one.maruch.net/story/470

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