雨は降り続ける。街の灯りは水たまりに映って、虹色に輝く。
ピエロは傘をさして歩く。彼は笑顔を作っているが、心は悲しい。
サーカスの仲間たちに裏切られたのだ。
彼の芸を妬んで、かわるがわるに彼の道具を壊したり、仕掛けを外したりした。
ピエロは何度も失敗して、観客から笑われた。彼はもうサーカスに居場所がないと感じた。
ピエロはカフェに入った。店員はその姿に驚いたが、何も言わなかった。
コーヒーとケーキを注文した。
コーヒーはノンカロリーの甘味料で甘くした。ケーキはチョコレートのものだった。
一口食べたが、味がしなかった。自分の舌が麻痺しているのかと思った。もう何も感じられないのだろうか。
窓の外を見た。雨はやまない。ピエロは涙を流した。
No.035|ぴえろっく https://one.maruch.net/story/476