彼は毎日同じように目覚めた。
ユニットバスでシャワーを浴びて、スーツを着て、朝食を食べて、出勤した。
彼はサラリーマンだった。
彼は毎日同じように働いた。書類を作って、上司に報告して、会議に出席して、残業した。
彼は毎日同じように帰宅した。
彼は毎日同じように夢を見た。
夢の中では、彼は大空を飛んでいた。風を感じて、雲をかき分けて、鳥と遊んでいた。
夢の中では、彼は大地を走っていた。花を摘んで、川を渡って、動物と話していた。
夢の中では、彼はモナリザに会っていた。彼女は微笑んで、手を握って、キスしてくれた。
夢の中では、彼はペンギンと一緒に暮らしていた。彼らは仲良くして、遊んで、笑っていた。
夢の中では、彼は幸せだった。
彼は夢のキミに恋をした。
キミは彼のすべてだった。
キミは彼のゆめだった。
No.016|ゆめのキミのゆめ https://one.maruch.net/story/344