No.007|五月雨のクミコ

クミコは和室の扉を開けたとたん、蜘蛛が畳の上を走っているのに気づいた。彼女は悲鳴を上げて、扉を閉めようとしたが、間に合わなかった。

扉の向こうから、猫が飛び込んできて、蜘蛛をむしり取った。クミコは驚いて後ずさりしたが、猫は気にも留めなかった。猫は蜘蛛を口にくわえて、部屋の隅にあるクッションに行って、そこでごろごろと鳴き始めた。

クミコは呆然として見ていたが、猫は目も合わせなかった。クミコは思わず笑ってしまった。

No.007 – 五月雨のクミコ https://one.maruch.net/story/151

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