No.010|そわりハット

ソワさんは手袋をはめて、車に乗った。彼女はドライブが好きだった。音楽を聴きながら、風を感じながら、景色を眺めながら。今日は特に気分が良かった。なぜなら、彼女はサボテンを買ったからだ。

彼女はサボテンが好きだった。トゲトゲしていて、強くて、かわいらしいと思っていた。彼女はサボテンに話しかけることもあった。今日買ったサボテンは、小さくて丸い形をしていた。彼女はそれに「ピコ」と名付けた。

ソワさんは目抜き通りを走っていたとき、ふとギターの音を聞いた。彼女は車を止めて、音のする方に歩いていった。すると、そこには若い男性が座って、ギターを弾いて歌っていた。

彼の歌声は素朴で優しくて、心に響いた。彼女はしばらく聞き入ってしまった。彼は歌い終わると、彼女に微笑んで「ありがとう」と言った。彼女は恥ずかしくなって「どうも」と答えた。そして、彼に珈琲をおごることにした。

二人は近くのカフェに入って、珈琲を飲んだ。彼女は彼の名前を聞いた。彼は「カイ」と言った。彼女は自分の名前を言った。「ソワ」と言った。

彼は「そわりハット」と言って笑った。彼女は「そわりハット?」と聞いた。彼は「ソワさんの帽子がそわそわしてるから」と言って指さした。彼女は帽子を取ってみると、中にピコが入っていた。

彼女は驚いて「ピコ!」と叫んだ。ピコは「キュー」と鳴いた。

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